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彼は動き出した。
いや、走り出した。
肥満というライフスタイル・習慣からの決別、逃避のように。
ひたすら走った。
一度動き出した物体は、外から外力が加わらない限り、等速で運動を続ける。
これを慣性の法則という。
裏を返せば、何も外力が与えられない限り、その場に居続ける。
走り出した彼の横で一緒に走っている時に浮かんだ。
何よりも一番恐ろしいのは
「何もしないこと」
なのだと。
人は、ある年齢から緩やかに退化していく。
その現実から目を背け、言い訳をし、その場に居続けようとする。
0から1が、なによりも困難なのだ。
(もっと恐ろしいのは、じっとモニターを見つめて、息子を上下に擦ることに人生の時間を費やすこと)
何かを始めること、続けることがこんなにも困難のはある意味、人のDNAに刻まれたシステムなのかもしれない。
皆が皆、容易に変わり、人生を向上させたら不都合なことがたくさんあるのかもしれない。
故に、現代のポルノシーンが発展を遂げ続けるのかもしれない・・・
だからこそ、そこを抜けだした人間には多大なアドバンテージがあるように思えてならない。
先輩は、走り続けている。
ある、ゴールに向かって
続く