昨年の春にこんなエントリーを挙げた
トンデモな、健康法や情報に惑わされる前に、科学的根拠のある生活習慣をまず整えようという提案。
それをものの見事に解説してくれた書籍が出たぞ!!!
作者の功刀浩氏は、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターに所属する一流の医師。精神科医として、数多くの心の病をもつ患者と付き合ってきた方である。精神病に栄養学の観点からアプローチする精神栄養学という分野に関しても造詣が深い。
タイトルに「心の病」とあるが、うつ病などの精神疾患を抱えていなくても非常にためになる1冊であることは間違いない。というのも、心の病を防ぐライフスタイルは、同時に毎日を生きるパフォーマンスを向上させる生活習慣と表裏一体である。私自身も経験があるが、どんな人も「心の病」に陥る可能性がある。人生の困難を乗り切って自信にするか、心身を壊してしまうかは、「日々の生活習慣が整っているかどうか」といかが大きなカギになることは間違いない。
新卒で入職したクリニックにおいて、今振り返ってみれば
・深夜帯までの勤務
・コンビニ弁当を常食としていた
・モンスターエナジーやカフェイン錠でやる気を上げようとしていた
・運動不足
というような、今思えば心身のバランスを崩して当然の生活習慣であった。
本書は【食事】【運動】【睡眠】【仕事】【余暇】の5つの観点から最新のエビデンスに基づく生活習慣を提案している。メンタルヘルスのトレンドであるビタミンDや腸内環境に関しても言及があり、非常によくまとまっている印象を受けた。
巻末には本書の内容をまとめた「ライフスタイル50のポイント」というまとめがあり、チェックできるシートもダウンロードできる。
人生はウルトラマラソンだ。今は芽が出てなくても、人生100年レース、長い目で見れば誤差にすぎない。長く、ゆっくり走るには「心身」という最大の資産を守ってやらねばならない。そんな生活を設計するには本書が指針になる。全力で走ってエンジンをぶっ壊す経験をしたからわかる。エンジンを壊さずに走り続けている超人の生存バイアスに騙されるな。最後には、コツコツスライトエッジを実践したものが勝つ。本書を読んで生活を整えることは、スライトエッジの哲学に他ならないのだ。